剣道場床工事に対する店主の思い

一剣士の剣道場に対する想い

私は小学校から剣道の修行に取り組んでいます。
東京都・新木場でフローリング専門店を営んでいる今でも現役の剣士です。

これまで剣道の稽古では、アキレス腱断裂、カカトの故障、足裏のまめ等、
足に関わる怪我は当然だと思っていました。

数年前、本格的な剣道場で稽古する機会がありました。
床の違いで足への負担が全く違うことを初めて知りました。

クッション性が高く、優しさと温かみがあって
思いっきり踏み込んでも足に負担が少なく、足腰の弱い年配の方、ブランク剣士でも
安心して稽古ができる剣道場だったのです。

どうして同じ剣道の稽古でもこれほど足腰への負担に違いがあるのか、
床材のプロとして気にならざるを得ませんでした。

それから日本中の旧武徳殿などを始めとした、古くからある剣道場の研究に取り組みました。
行き着いた答えは、「武道である剣道は体育館で稽古するものでは無く、剣道場で稽古することが本来の姿である。」ということでした。

どういうことかと申しますと、体育館は「シューズを履いておこなうスポーツをする場所」であり、素足でおこなう剣道の稽古では、体育館の床表面に施されている滑り止め効果が剣士の足にとって悪影響を及ぼしているのです。

また、強く踏み込む剣道では体育館の床は硬すぎ、剣士のカカトを痛めてしまうこともあります。
ここ十数年、剣道が体育館で稽古することが主流であった私たち剣士は、
これらが原因でおこる故障が「当然」だと思っていました。

なぜこのような問題が起きているのでしょうか?

一番目に、建築前の計画時点での無知・勉強不足が挙げられます。
考えてみると非常に恐ろしいことではありますが「計画が決まっているにも関わらず、
剣道場の建築方法を研究せずに剣道場という名の体育館を建ててきた」ということになります。

しかし、かくいう私も体感するまで問題に気づきませんでしたし、
そもそも剣道をしていない建築士にそれを求めるのも無理があるかもしれません。

二番目に、「結局は売れればいい」という風潮が挙げられます。

建築業者や納品業者は「剣道場を利用する剣士の立場に立った剣道場作り」を
したくても、専門家が少なく、資料が少ないためにできなかったのです。

結局、体育館仕様のウレタン塗装などを扱わざるを得なくなっていました。

でもそれでいいのでしょうか?

本当に自分たち現役剣士が稽古をしたい剣道場とはどのような道場なのでしょうか?

剣道業界に携わっているほんの一握りの方は、本格剣道場の無垢材でつくられた
足触りが良く、クッション性の高い剣道場の床がどれほど稽古しやすいのかを知っています。

剣道場の建築は需要そのものが少ないため、建築に関わる人々が「剣士のニーズ」を汲み取ることはとても少なく「本格的な弾性床構造の剣道場づくり」は広がることがありませんでした。

しかし、需要が少ないからと言って剣士にとって安全な道場づくりを研究しない、
と言うのはとてもおかしな事だと思います。

一剣士として、床材のプロとして安全な剣道場を広めていきたい。
また、材木商としての取組である国産材の普及にもつなげたい。

私は自分で稽古・体感・研究を重ね、納得した弾性床構造の剣道場を
世界中の剣士に提案し、日々勉強する材木屋でありたいと思っています。

できる限り私の持つ剣道場 床建築の知識をご提案することをお約束いたします。
それが私の仕事です。