岩国練武場は、陸軍元帥長谷川好道の死去(大正13年 1924)の翌年、
岩国市に寄付されたその誕生地に、有志者によって記念道場として建てられたものである。
昭和2年(1927)落成し、現在も青少年の剣道場として使用されている、
地域に根ざした剣道場の一例である。
建物は、木造平屋建寄棟造りに下屋(げや)を葺きおろし、正面に唐破風の玄関を設けている。
外壁は杉板の下見(したみ)板張(いたばり)とし、回転式の天窓をもつ引き違い窓を開ける。
正面基礎は人造石洗い出し、その他はセメントモルタルとするなど和洋折衷様式となっている。
内部は主体部に演技場および正面の師範台を、
右側の葺き卸し部分に観覧席と支度室を設けている。
全国各地の歴史ある道場には良く見受けられますが、
柱や天井が道場とは思えないようなペンキの塗装が施されています。
これは、戦後ダンスホールと称して
大切な道場を存続させようとした苦肉の策だったと思われます。
ご好意により床下までもぐらせて頂き床構造の調査も行なえました。
10年ほど前に以前の床に増し貼りされたそうです。
以前の道場床は松材を使用していたようです。
新しい床材は、合板を貼ってナラ材を貼ったようです。
数本は、とんでもない長さの大引き材が使用されていました。