特許出願済:特願2011-288706号

  • ・気持ちよく稽古ができる剣道場床をつくる。
  • ・練習生への足の負担を出来るだけ少なくする。
  • ・できるだけ長く使える剣道場床をつくる。

以上の3点から、当社では素足で使用する剣道場床には
針葉樹の無垢床材の利用を推進しております。
基本的にはご要望が無い限り合板フロアーや集成材などは使用しません。
無垢材とは、接着結合や混ぜ物がない本来の木そのものの事を指します。 合板フロアーは、薄くスライスした木材を貼りあわせた物です。 集成材は、同じ樹種の木をフィンガージョイントなどで結合した物です。 最近では、集成材を無垢集成材などと表記する場合も有るので注意が必要です。

針葉樹の無垢の床材であればなんでもよいわけではありません。
樹種を選択していく中で、当社では剣道場を建築する際には
まずはひとつの樹種を推奨させていただいております。

まず、剣道場においては床材に適度な滑りが必要になります。
滑りすぎても駄目。滑らなさすぎても駄目。

適度な滑りを持たせたり、ある程度以上の弾力性を持たせるためには針葉樹であるべきだと考えます。

日本で手に入りやすい針葉樹だと松(マツ)か桧(ヒノキ)か杉(スギ)に絞られます。
松は、創建当初の京都武徳殿の床にも使用されていた樹種になります。
現在、日本の松は全国でマツクイムシの被害にあいなかなか良材が手に入り難い状況です。
その為、京都武徳殿の床も現在ではそのほとんどが桧に変更されています。
実際に松で剣道場床を作るとしたらかなりの予算と時間が必要になります。
最近では、松を使用する剣道場床のそのほとんどが集成材になってきました。

桧は、九州から関東近隣までかなりの量が植林されて資源も豊富です。
全国的にも総桧で建てた住宅は桧普請と言われ高級住宅とされています。
その為か、一般的に杉材よりも桧材は高級材とされているようです。
剣道場床に使用する様な節の小さな桧材を手配すると価格が跳ね上がります。
なかなか剣道場床としては手の届きにくい価格になる事が多いようです。

杉は、針葉樹、広葉樹含め日本で一番資源が多い樹種になります。
杉は、国の政策もあり戦後から成長が早く真っ直ぐに伸びる為に大量に植林されました。
今では、九州から東北までたくさんの伐採時期を迎えた杉が立っています。
剣道場床には、杉の赤味が良いと言われています。
しかし、杉の赤味と言うだけなら育成の早い九州地方に行けばいくらでも手に入ります。
赤味であり、年輪が詰まっていて、節が少ない杉材となるとなかなか手に入れ難くなります。
その為には、何十年も前から間伐作業や枝打ち作業を行い
丁寧にじっくりと育てられた目の詰まった杉を探さなければいけません。
杉は、蓄積量としては桧の3倍もあり絶対量が圧倒的に多いわけですから
全国各地のたくさんの材料から選びぬく事が可能です。
剣道場床建築工房では、山林の立ち木を確認するところから
実際に剣道場床になるまでのトレーサビリティーにも万全を期しております。

また、製材方法や乾燥方法、加工方法の違いで同じ針葉樹丸太でも まるきり違った性質の剣道場床材になりえます。

かの中山博道先生もある著書の中で
「桧というのは非常にいいけれど、冬はつるつるして滑るし、かえって狂いが来る。できるだけ古い杉で、厚さを一寸以上にして通し板にするのが一番よい。高いものにつくけれど、その代わり長持ちするよ」
とおっしゃっています。

しかし、現代に生きる私たちにとってはこの言葉を真に受けてはいけないと考えます。
『つるつるして滑る』というのは、杉、桧、松のどれをとっても仕上げの方法で如何様にもできます。
『かえって狂いが来る』というのも製材方法や乾燥方法、材の寸法で如何様にもできます。
『できるだけ古い杉』というのも樹齢のことをおっしゃっているのだろうか?真意が分かりません。
『厚さを一寸以上』というのも床下構造で材の厚さは如何様にも変更できます。
『通し板にするのが一番良い』とは板の弾力性と板同士のつなぎ目の数を気になされているのだと思います。

もう、今から数十年も前のお言葉ですが、戦後70年様々な技術が進歩しています。
材木商として上記の言葉を目にした時に中山博道先生は決して“木材や建築の先生では無い”と思いました。
どの世界でも古来の名人や達人の言葉は言い伝えにより残っているものですが
今現在の評価としてもう一度検証してみなくてはいけない事柄も多くあるようです。
道場の大きさにもよりますが、高樹齢の杉を使用して通し板で一寸以上の厚みを持たせた剣道場床もできるかもしれません。
ご希望の方は、お問い合わせください。現実的ではない高価な剣道場床の見積りになると思います。

杉、桧、松など、どの樹種の剣道場床も滑り過ぎるとの声も聞かれます。
その滑り過ぎる剣道場床を見てみると私たち材木商からすると当たり前の事なのであります。
それは表面の塗装や仕上げによって滑りなどは変わってくるからです。

少し身近なところで考えてみます。
温泉や銭湯などでは石の床が見受けられます。
中でも表面がツルツルに磨き上げられたものとゴツゴツした仕上げものが有りますよね。
ツルツルもゴツゴツも滑り(ヌメリ)が有ったらどっちも滑ると思いますが、
どちらかというと風呂場ではその石の素材に関わらずツルツルした方が滑りそうですね。
これは経験から判断できると思いますが、なかなか剣道場床をそんな目で見る機会は少ないです。
でも、これと同じような事が剣道場床でもあるのです。
同じ樹種に見えても稽古すると全く異なるということが…
この使い分けが剣道経験者かつ材木商など木を扱う方でないと難しいと思います。
杉、桧、松のどの樹種でも剣道場床として滑る様にもできるし滑らない様にする事も可能です。

では、先出の様に中山博道先生が杉材が良いとおっしゃっていたで杉材を剣道場床に採用したとしましょう。
中山博道先生が間違ったことを言っているという訳ではなく、この情報だけでは剣道場床材製造にとっては不十分です。
剣道場床に使用する杉材でも仕上がり寸法、表面仕上げ、塗装には一切触れられていません。
仕上がり寸法は、原木丸太の大きさにも関わってくる重要な部分です。
床塗装は、無塗装、ウレタン塗装、オイル塗装などが有ります。
また、床材の仕上には、サンディング加工、カンナ仕上げ、超仕上げなどが有ります。
こうなると中山先生がおっしゃる剣道場床がどの様なものなのか?この情報だけでは分かりません。

剣道場床建築工房では、日本全国、台湾まで実際に足を運び
古来から評判の高い剣道場に出向き構造や仕上材などのデータ収集解析を行ってまいりました。
また、日本武道学会にも参加し全世界の武道の先生方からもご助言をいただきながら剣道場床を作っております。

言い伝えに頼らず、実際に道場床を体感する事と様々なデータを元に最適な剣道場床をご提案致します。